知られざる第4の髄膜,SLYMスリムの発見
寄稿 森 勇樹
デンマーク・コペンハーゲン大学と米国ロチェスター大学の神経科学研究グループは,クモ膜下腔にその領域の脳脊髄液(CSF)を2区画に分ける薄い膜が存在することを発見した1)。これまで髄膜は硬膜・クモ膜・軟膜の3層から成るとされてきたのに対して,知られざる「第4の髄膜」の存在が示されたのである。
新しく特定されたこの膜には免疫細胞が多く駐屯し,脳を「監視」している可能性が示された。今回の発見は,生体に近い形で詳細な構造を観察する組織解剖学の新しい技術と,研究者の鋭い観察眼,そして脳の生きた構造・機能を視覚化・評価したいという神経科学者たちの想いから至ったものである。
筆者は本論文の共著者の1人として,この第4の髄膜の発見に携わった。本稿では,研究に至る経緯や論文の概要,今後の展望について,サイドストーリーも含めて解説する。
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