サイエンスイラストで「伝わる」科学 [第2回] 科学のためのイラストとは 連載 大内田美沙紀

模写から学ぶ解剖学


 私がサイエンスイラストレーションを知ったのは,アメリカの大学院に留学していたときだった。大学院の専攻は人類学。人類学が扱う範囲は非常に広く,地域の文化を研究する社会学的なものから,ヒトのホルモン分泌を調べる医学的なものまでさまざまだ。私は化石の科学的復元に興味があり,骨格からどのように筋肉などの組織を復元するかを学ぶため,医学生に混じって解剖学の講義を受けていた。献体にも触れる機会があり,人体の隅々まで夢中になって学んでいた。そのときの講義では,『ネッター解剖学アトラス』(Elsevier)を皆バイブルとしていた。その本の著者であるフランク・ヘンリー・ネッターは,外科医であると同時にメディカルイラストレーターでもあった。

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