患者をエンパワメントするpeer-to-peerのつながり 寄稿 北村温美
Patient engagementの重要性
2001年に米国医学研究所(当時)が21世紀医療でかなえるべき6つの目標の1つとしてpatient-centeredを掲げて以来1),患者の価値観を尊重することは世界中で重視されてきた。昨今は病院で治療を受ける「患者」としてだけでなく,日々の暮らしを病と共に生きる「一人ひとりの生活者」としてとらえるperson-centeredという言葉が用いられる。Person-centered careとは単に患者の意見を優先することではなく,「個人への尊厳,共感,敬意の念をベースとした統合的で個別化されたケアであり,enabling careである」と英国では定義され2),人々がそれぞれ持つ強さと力に気づき,自律的で充実した人生を送るため(ウェル・ビーイングのため)の力をエンパワメントするものであると説明されている。
医療が進歩し多様な治療選択が可能となり,社会的・身体的変化の中で長期にわたり治療を継続しながら生活を送る現代において,このperson-centered careの考え方はますます重要視され,研究や診療の目標として各分野で取り入れられている。筆者が長年携わってきた腹膜透析医療においては,数値目標ではなく「患者の人生のゴールをかなえること」を治療目標とする画期的なガイドライン(至適処方に関するガイドライン)が2020年に国際腹膜透析学会から発表された。
参考文献
1)Institute of Medicine Committee on Quality of Health Care in America. Crossing the Quality Chasm:A New Health System for the 21st Century. National Academies Press, 2001.
2)The Health Foundation. Person-centred care made simple. 2014.
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