応用倫理学入門 [第4回] 生殖医療の倫理(1)――体外受精,着床前診断,代理出産 連載 澤井努

 1978年,世界初の体外受精(in vitro fertilization:IVF)児であるルイーズ・ブラウンが誕生し,生殖医療に革命が起きました。この技術は自然妊娠が難しいカップルにとって希望の光となり,不妊治療の選択肢を大きく広げました。しかし,IVF技術を開発したロバート・エドワーズがノーベル生理学・医学賞を受賞した際に,ローマ・カトリック教会が否定的な反応を示したことは広く知られています。IVFは現在,代表的な生殖補助技術の一つとなっていますが,その健康リスクについてはいまだ完全には解明されていません。また,問題は健康リスクにとどまりません。今回は,比較的歴史の長い生殖補助技術の中でも,IVF,着床前診断(preimplantation genetic diagnosis:PGD),代理出産に焦点を当て,それらに伴う倫理的課題を論じていきます。

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