世界医師会ヘルシンキ宣言の2024年改訂 寄稿 井上悠輔

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 本年10月,世界医師会のヘルシンキ宣言が改訂された。正式名に「人の参加を伴う医学研究のための倫理原則」とあるように,研究において配慮すべき事項がまとめられている。1964年の採択時は十数項目の簡素なものであったが,検討範囲の拡大を背景として改訂ごとに長くなり,現在は37のパラグラフより構成される(以降,括弧内はパラグラフ番号)。前文と原則では,研究参加者の健康と権利を保護する役割は医師・研究者の側にあること(4, 9),医学の進歩には人を対象とする研究が不可欠であること(5),研究者は倫理・科学両面での資質を備えていること(12)などが示されている。続く各論では,計画の事前評価や同意取得など,日本でもよく知られる内容が含まれている。一方,研究の恩恵へのアクセスやプラセボ試験を巡る記載など,解釈を巡って論争が続く文章でもある。

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