レジデントのための患者安全エッセンス [第9回] 緊急対応の多い救急外来で,エラーなく診療を行いたい 連載 坂本壮
日常的に出合う疾患でエラーが起こっている
救急外来におけるエラーの発生率は5.7%,そのうち患者に有害事象が生じるのは2.0%,重篤な後遺症や死亡に至るケースは0.3%と報告されています1)。骨折や虫垂炎などがエラーの多い疾患の代表例ですが,脳梗塞やくも膜下出血などの脳卒中,急性冠症候群・急性大動脈解離・急性肺血栓塞栓症(いわゆる胸痛の“BIG3”),さらには脊髄損傷,髄膜炎や敗血症などの感染症,悪性腫瘍(肺癌,大腸癌など),絞扼性腸閉塞などは重篤な転帰をたどり得るために,特に注意が必要です1)。日本の救急外来に関連した医療訴訟の研究データでは,喉頭蓋炎や頭蓋内出血に代表される外傷のエラーが,前述した疾患以外に報告されています2)。珍しい疾患でエラーが起こっているのではなく,救急外来で日常的に出合う疾患で発生していることをまずは理解しておきましょう。
参考文献
1)AHRQ Comparative Effectiveness Reviews. 2022[PMID:36574484]
2)West J Emerg Med. 2023[PMID:36976599]
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