看護のアジェンダ [第244回] 名前のない重要な作業 連載 井部 俊子
2025年4月初旬,私は,ある大学病院の朝のナースステーションに立った。60床の病棟はAチームとBチームに分かれ,その名のとおりナースステーションは「ナース」で埋まっていた。この病棟は,フルタイム勤務の看護師が33人,時短勤務の看護師が2人,看護助手が4人で構成される。病棟師長が作成した勤務表にしたがってスタッフは出勤してくる。夜勤者は朝の引き継ぎをして帰る。日勤者は割り当てられた患者を担当し,定められた業務を行う。そこには「筋書き」がある。
今回,私が注目したのはこの筋書きである。病棟という舞台で全ての出演者がうまく演じるには優れた筋書きが準備されている必要がある。この病棟の筋書きはA4判くらいの大きさの,ひもつきの,ホワイトボードであった。この質素なボードに日勤者の筋書きのあらましが載っているのである。ボードにはその日の勤務者の名前が並んでいて,各人が担当する病室番号が示される。勤務するナースの名前の下には線が引かれていて,あるナースとナースがバディであることをそっと示している。生成AI Geminiによると,バディ(buddy)とは,「友人同士や仕事のパートナーなど,信頼できる関係性を表現する際に用いられる」とあり,相棒,仲間,親友などの意味があるとのことだ。バディは原則として二人一組のペアに対して使う表現であるが,同士,仲間といった表現は男性間のみで使うとも説明される。となると,病棟の筋書きにはバディではなくペアのほうが適切かもしれない。しかし,ペアは二人組を意味するが,この病棟の筋書きには相棒を三人組と示している箇所もある。それゆえ,私は使い古された「ペア」ではなく「バディ」を使ってみようと考えたわけである。
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