育児と介護の「ダブルケア」 その実態と,医療職ができる支援について 寄稿 寺田 由紀子

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ダブルケアとは?

 日本は高齢化率29.3%1)の世界有数の高齢化社会です。第一子出生時の母の平均年齢も31.0歳2)になり,出産年齢の高齢化も進んでいます。この現状は同時に出産・育児にかかわる世代が自身の親の介護と子育ての両方に直面する「ダブルケア」を行う可能性が高くなることを示しています。

 ダブルケアとは,横浜国立大学の相馬直子先生と英ブリストル大学の山下順子先生が提唱した言葉です。狭義には「育児」と「介護」の同時進行を指します。広義では療養中の配偶者のケアと育児,障がいのある兄弟姉妹や子どものケアと親の介護の重なりなど,家族や親族をはじめとする親密な関係における複数のケア関係を含む概念であり,中にはトリプルケア,多重ケアを抱えているケースもあります。

 ダブルケアという言葉は徐々に知られてきているものの,それでも社会の認知度は20%程度であり3),自身がダブルケアラーであることに気づいていない人も多くいます。医療職は働く中でかなりの数のダブルケアラーに出会っているはずですが,ダブルケアの前提知識がないと気づかないのではないでしょうか。

参考文献・URL

1)内閣府.令和7年版高齢社会白書.2025.
2)厚労省.令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況.2024.
3)ソニー生命.ダブルケア(子育てと介護の同時進行)に関する調査2024.2024.

 

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