MRIやCT検査は身体(臓器)全体を撮影したあとで病変を診断するが,心臓超音波検査(心エコー図検査)に限らず超音波検査は,検査者が病変を映し出さなければ(病変に気が付かなければ)診断できず,レポートにも記載できない。したがって,超音波検査では検査中に得られた超音波所見を解釈しながら必要な画像を描出し,検査中に頭の中でレポートを完成させることが求められる。
心エコー図検査は,心腔サイズや血流速度など多くの計測を行う。それらの計測値と共に弁や心腔サイズについての所見をレポートに記載するのが一般的であるが,その際に検査者の総括コメントも記載することが肝要と筆者は考える。例えば,病変の経過観察を目的とした心エコー図検査の依頼では,前回検査と比較し今回がどう変化しているのかを明記する。また,心エコー図検査で重症度を評価する場合では,各計測値を照らし合わせ,考えられる重症度を記載する必要があるだろう。以上を踏まえ本稿では,実際の診断に役立つ心エコー図検査のレポート作成の要点を解説していく。