EBM(Evidence-Based Medicine)が提唱されて30年余が経過し,いまやAIによってエビデンスを探したりまとめたりする時代になった。しかし,医療の有効性の決め手となるエビデンス(おもに介入試験)はAIで作ることができない。それはやはり臨床や公衆衛生の現場で,人(例えば医師)が人(例えば患者)に対して特別な計画と配慮をした上で実施させてもらうものである。そこでは,研究の科学性と被験者の利益を両立させなくてはならない。観察研究であっても,そのために特別に情報収集させてもらったり,既存資料でも同意を得て(少なくともオプトアウトで)利用させてもらったりしなければならない。臨床研究は人の叡智と倫理観が問われる人間の仕業である。
本稿では,身近な例を挙げながら,どのような臨床研究がエビデンスを提供してきたかを概観する。