『世界標準の経営理論』(入山章栄著,ダイヤモンド社,2019年)の第19章「モチベーションの理論」にある理論6:プロソーシャル・モチベーション(prosocial motivation:PSM)に,私はこのところ注目している。
2000年代に入って経営学で登場した新しい視点の研究であると著者は紹介している。書籍によると,PSMは「他者視点のモチベーション」のことであり,PSMが高い人は,関心が自身だけでなく他者にも向いており,他者の視点に立ち,他者に貢献することにもモチベーションを見いだす。これはけっして,「社会貢献」のような大きなものに限った話ではない。「顧客視点に立つ」「取引先との視点に立つ」「部下の視点に立つ」といった,身近なものを含む。
書籍では,PSMと内発的動機の「補充効果」に言及する。つまり「PSMと内発的動機がともに高いレベルにあると,互いが補完し合って,その人の高いパフォーマンスにつながる」とされ,「他者に貢献することをみずからの楽しみとして感じる」と説明される。さらに,クリエイティビティを高める可能性に関連した話題が続く。PSMが高い人はアイデアが新規であるかどうかだけでなく,そのアイデアが「相手にとって有用か」までを考え,他者に役立つことを「面白い・楽しい」と感じるため,クリエイティブな作業にコミットするようになるという。