CASE
上級医 誤嚥性肺炎が疑われる高齢女性が救急搬送されてきました。酸素投与が必要で入院となる見込みです。前回の入院では不穏が強くて大変だったと看護師から聞きました。今回は行動制限についてもあらかじめ説明しておきましょう。
研修医 えっ……わかりました(身体拘束の説明苦手なんだよな)。
~説明場面への転換~
研修医 入院に際して,身体拘束を行う可能性がありますので,行動制限の同意書にもご署名をお願いします。
家 族 拘束? 肺炎を治すだけなのに,なぜそんなことが必要なんですか?
研修医 えっと,それはですね……。
ご家族の表情には強い不安が浮かび,研修医の説明はぎこちなくなっていく……
行動制限の本質を理解する
医療現場で行動制限(身体拘束)が実施されるのは,転倒防止や治療チューブの自己抜去防止など,患者さんの安全確保のためであることが多いです。ただし,精神科領域を除き,身体拘束の可否を明確に定めた法律はありません。厚労省「身体拘束廃止・防止の手引き」では,身体拘束が許容される条件として3つの要件(切迫性・非代替性・一時性)を全て満たすことが求められています(表1)。この手引きは主に介護施設を想定して作成されたものですが,急性期医療においても3要件の考え方は基本姿勢として重要です。日本集中治療医学会も「ICUにおける身体拘束(抑制)ガイドライン」で同様の考え方を示しています。