麻酔科研修はなぜ「楽しい」と「大変」に分かれるのか?
初期研修で麻酔科をローテーションした先生方の声を聞いていると,印象的なことがあります。
「すごく楽しかったです」「将来の進路として考えたいと思いました」といううれしい声が寄せられる一方で,「他の科と全然違っていて大変でした」「何が起こっているのか理解が追いつきませんでした」といった声も少なくないのです。ときには「麻酔科の先生が独特で,それがきつかったです」という寂しい声も耳にします。
同じ期間,同じように研修しているにもかかわらず,なぜここまで麻酔科に対する印象が分かれるのでしょうか。その理由の一つとして,麻酔科特有の「時間の流れ」と「思考の進め方」が研修医にとって見えにくく,理解されていないことがあるのではないかと感じています。指導医にとっては当たり前の判断や準備が,研修医に前提として共有されていない。このギャップが,戸惑いや難しさとして現れているように思います。手術室の中で研修医は,「次に何をするべきか」「どこに注意を向けるべきか」と自分に問いかけながら立っています。しかし実際には,その問いの答えが見つかる前に状況が進んでいるのです。