糖尿病診療の現場では,DPP-4阻害薬は長い間「使いやすい薬」として定着してきました。低血糖のリスクが低く,体重増加も起こしにくい。腎機能が低下していても使いやすく,高齢者にも処方しやすい。日本の外来診療を考えると,これほど「無難」な薬はそう多くありません。
一方で,海外のガイドラインや最近のエビデンスを見ていると,長年第一選択薬であったメトホルミンや,心腎イベント抑制効果がはっきりしているSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬が前面に出てきており,心腎イベント抑制効果に関するエビデンスの「ない」DPP-4阻害薬を使用,特に最初に使うなんて悪手じゃないのか? と言われることもあります。ところが日本の外来では,DPP-4阻害薬の処方率はダントツで一番です1)。このズレについて単純な答えを出すのは難しいですが,本稿ではエビデンスだけでなく,日本の外来において「DPP-4阻害薬の立ち位置」をどう考えるかを整理してみたいと思います。