【連載】がん患者のせん妄を看護する エビデンスと臨床の間で
[第10回] 術後せん妄――周術期のリスクと予防の視点

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術後せん妄とは,麻酔覚醒後,典型的には術後3日頃までに生じる急性の意識・注意障害を指します。加齢は術後せん妄の重要なリスク要因であるため,高齢化の進行に伴い,術後せん妄は周術期医療における重要な課題となっています。特にがん患者では,侵襲度の高い手術や長時間の手術を受ける場合も多いため,注意が必要です。術後せん妄は見当識障害,興奮,幻覚,昼夜逆転などがみられ,過活動型せん妄として一過性の精神症状ととらえられがちですが,ルート類の自己抜去や転倒・転落などの医療安全上の問題のみならず,入院期間の延長,死亡率の上昇,その後の生活機能やQOL低下とも関連することが報告されています1~4)

一方で,低活動型の術後せん妄では,ぼんやりしている,反応が乏しい,眠ってばかりいるといった症状が中心となるため,加齢や術後疲労ととらえられ,見逃されることがあります。そのため周術期に患者を最も近くで観察する看護師の役割は重要です。

今回は,『がん患者におけるせん妄ガイドライン2025年版』5)を踏まえながら,術後せん妄に対する周術期の予防的視点に焦点を当て,術前リスク評価,多職種による予防的アプローチ,家族支援を含めた周術期ケアについて,看護師の役割を中心に解説します。

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