ALCOAとは
臨床データの信頼性と一貫性を確保するため、FDAが1990年代に示した基本原則が ALCOA(Attributable, Legible, Contemporaneous, Original, Accurate)である。
下記の5つの要素で構成されている。
- Attributable(帰属可能性):誰が、いつ、どこでデータを記録したのかが明確であること
- Legible(判読可能性):将来にわたって誰でも読解可能な状態であること
- Contemporaneous(同時記録性):観察や試験と同時に記録が行われていること
- Original(原本性):データは最初に記録した資料に基づいていること
- Accurate(正確性):事実を誤りなく、忠実に記録していること
これらにより、データは独立検証可能で、規制当局に提出する際の重要証拠となる。
ALCOA+ の拡張
電子化が進む中で、ALCOAはさらに拡張され、ALCOA+ が提唱され、元の5原則に加えて下記の4つが含まれている。
- Complete(完全性):すべての関連データが記録され、欠損がない。
- Consistent(整合性):データ間や時間軸で矛盾がない。
- Enduring(永続性):記録が消失や改ざんされず保存される。
- Available(可用性):必要時にすぐにアクセスできる。
ALCOAの具体例で理解する
ALCOAの実践例 例えば、被験者の血圧を測定した場合には下記の通りとなる。
- Attributable(帰属可能性)⇒測定した看護師の名前やイニシャルを記録用紙に記入する。
- Legible(判読可能性)⇒数字やコメントはきちんと書き、読みにくい字は避ける。
- Contemporaneous(同時記録性)⇒血圧を測った直後に記録し、時間差なく行う。
- Original(原本性)⇒紙媒体や電子データなど最初に記録したものをそのまま保存し、オリジナルを管理する。
- Accurate(正確性)⇒測定値を間違いなく正確に記録し、単位や数値の誤りをなくす。
原資料に求められる要件については、日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会やALCOAの原則は、EFPIA Japan 臨床部会が分かりやすい資料1)2)を公開しているため、参照されたい。
ALCOAは、臨床試験データの質と信頼性を支える極めて重要なものであり、規制当局(FDA、EMA、PMDAなど)の査察で、ALCOA原則に反するデータは重大な問題に繋がる。特に初心者は「記録=誰がいつ何をどう記録したか」が明確であることを意識し、字が読めて、即記録、原本性、正確性を確保することから始めることが重要である。
データの完全性と透明性を確保することで、治験結果の信頼性を高め、被験者の安全性につながる。
資料
1) 日本製薬工業協会, 医薬品評価委員会, 臨床評価部会. 「原資料に求められること」 https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/results/allotment/lofurc0000006x6r-att/chiken_process_002.pdf (最終アクセス:2026年4月20日)
2) EFPIA Japan 臨床部会. 「原資料」に求められるもの ALCOAの原則」 https://www.efpia.jp/link/ALCOA_Traning_materials_for_web_F_J.pdf (最終アクセス:2026年4月20日)