第1章 臨床試験の基礎知識とそのポイント 
10 臨床試験の品質管理(モニタリング)と品質保証(監査) 
10-3 ALCOAの原則とは 
谷澤 公彦

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ALCOAとは

臨床データの信頼性と一貫性を確保するため、FDAが1990年代に示した基本原則が ALCOA(Attributable, Legible, Contemporaneous, Original, Accurate)である。

 

下記の5つの要素で構成されている。

  • Attributable(帰属可能性):誰が、いつ、どこでデータを記録したのかが明確であること
  • Legible(判読可能性):将来にわたって誰でも読解可能な状態であること
  • Contemporaneous(同時記録性):観察や試験と同時に記録が行われていること
  • Original(原本性):データは最初に記録した資料に基づいていること
  • Accurate(正確性):事実を誤りなく、忠実に記録していること

これらにより、データは独立検証可能で、規制当局に提出する際の重要証拠となる。

 

ALCOA+ の拡張

電子化が進む中で、ALCOAはさらに拡張され、ALCOA+ が提唱され、元の5原則に加えて下記の4つが含まれている。

  • Complete(完全性):すべての関連データが記録され、欠損がない。
  • Consistent(整合性):データ間や時間軸で矛盾がない。
  • Enduring(永続性):記録が消失や改ざんされず保存される。
  • Available(可用性):必要時にすぐにアクセスできる。

 

ALCOAの具体例で理解する

ALCOAの実践例 例えば、被験者の血圧を測定した場合には下記の通りとなる。

  • Attributable(帰属可能性)⇒測定した看護師の名前やイニシャルを記録用紙に記入する。
  • Legible(判読可能性)⇒数字やコメントはきちんと書き、読みにくい字は避ける。
  • Contemporaneous(同時記録性)⇒血圧を測った直後に記録し、時間差なく行う。
  • Original(原本性)⇒紙媒体や電子データなど最初に記録したものをそのまま保存し、オリジナルを管理する。
  • Accurate(正確性)⇒測定値を間違いなく正確に記録し、単位や数値の誤りをなくす。

 

原資料に求められる要件については、日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会やALCOAの原則は、EFPIA Japan 臨床部会が分かりやすい資料1)2)を公開しているため、参照されたい。

 

ALCOAは、臨床試験データの質と信頼性を支える極めて重要なものであり、規制当局(FDA、EMA、PMDAなど)の査察で、ALCOA原則に反するデータは重大な問題に繋がる。特に初心者は「記録=誰がいつ何をどう記録したか」が明確であることを意識し、字が読めて、即記録、原本性、正確性を確保することから始めることが重要である。

 

データの完全性と透明性を確保することで、治験結果の信頼性を高め、被験者の安全性につながる。

 

資料

1) 日本製薬工業協会, 医薬品評価委員会, 臨床評価部会. 「原資料に求められること」 https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/results/allotment/lofurc0000006x6r-att/chiken_process_002.pdf (最終アクセス:2026年4月20日)
2) EFPIA Japan 臨床部会. 「原資料」に求められるもの ALCOAの原則」 https://www.efpia.jp/link/ALCOA_Traning_materials_for_web_F_J.pdf (最終アクセス:2026年4月20日)

     

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