第2章 臨床研究の倫理性 
6 被験者の安全性確保 
6-4 有害事象の報告期限と対象となる観察期間 
松本 直樹

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臨床試験にはいくつかの種類があり、それぞれに報告期限には違いがある。特に重要なのは緊急報告である。治験の場合の副作用報告期限を中心として、表4にまとめた。

表4 治験依頼者から規制当局への副作用報告期限(治験実施者が情報を知った日から起算)

予測性 重篤性 報告期限
予測できない(未知) 死亡、死亡につながるおそれ  7日
  その他の重篤な有害事象 15日
予測できる(既知) 死亡、死亡につながるおそれ 15日
(医療機器などの不具合)   30日
(定期報告)    1年毎(期間満了から2ヶ月内)
注:臨床研究法ではCRBに2ヶ月以内、CRB結論後1ヶ月以内に厚労大臣報告

 

先の項にも述べたが、特に既知ではない情報は他の参加者の安全確保のために重大な情報である可能性が高く、できるだけ早く、多くの試験実施施設に情報提供される必要があり、報告を怠ってはならない。報告が遅くなってはならないことは勿論のこと、そもそも自施設での情報収集が正しく行われる準備が重要であり、さらに死亡などの事象は別の医療期間で発生する可能性すらあることを考えると、先に示した臨床試験カードだけでなく、参加者家族など、できるだけ多くの人に試験実施・試験参加の事実を知っておいていだだくなどの努力から、院内での体制整備の重要性がご理解いただけるのではないかと思う。

有害事象の観察期間であるが、有害事象の定義の項に述べた通り、同意取得時点から観察期間となる。実際には試験のための検査などでも有害事象は発生しうるし、できるだけ多くの情報を収集するという方針に合致する。一方、治療などが行われた後にはいつまでを観察期間とするかは、試験の性格や行われる治療によって異なるため、その期間は試験計画書に定義する必要がある。定義する際には治療の本質から考えて妥当な期間とするべきであるが、未知の情報まで収集したいと思えば、どうしても期間が延びてしまいがちとなる。しかし現実にはあまりに長い期間を設定できないであろうから、試験実施可能性とのバランスを良く考えて試験計画を立てるようにすることとなる。

     

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