第3章 臨床研究に関わる法規制、指針等 
1 治験:薬機法 GCP 
1-4 医薬品添付文書の活用 
小野 俊介

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1.規制上の位置づけ

医薬品の添付文書は、薬機法の規定に基づき、医薬品の適用を受ける患者の安全を確保し適正使用を図るために、医師・薬剤師などに対して必要な注意事項などの情報を提供する目的の文書である。医薬品の製造販売業者が新薬などの製造販売承認取得時に作成する。医療用医薬品の添付文書は2021年から原則として電子化されており(いわゆる「電子添文」)、PMDAのホームページなどから閲覧できる(医薬品の外箱のQRコードを読み取ることでも閲覧可能)。

製薬企業は新薬の承認申請の際に添付文書の案を提出し、その記載が申請内容を適切に踏まえたものかをPMDAが審査の一環で確認する。添付文書にはその時点で最新の承認内容・科学的知見が反映されていなければならず、承認後も必要に応じて改訂される(改訂の際にはPMDAに届出が求められる)。米国では添付文書の記載内容にあたるラベル(label)を当局が審査し承認するが、日本では企業が承認内容に従って添付文書を適切に作成していることを国が確認するという形をとる。

 

2.構成・記載内容

添付文書に記載すべき事項は薬機法に定められており(法第68条の2)、具体的な記載項目と記載順が厚労省から2017年に通知されている。

添付文書には、警告、禁忌、組成・性状、効能・効果、 用法・用量、重要な基本的注意、特定の背景を有する患者に関する注意、相互作用、副作用、薬物動態、臨床成績、薬効薬理、承認条件などの最新の情報が記される。

「特定の背景を有する患者(腎・肝機能障害者、小児、高齢者など)に関する注意」には、漠然とした記載を避け、可能な限り臨床試験の実施状況に基づいた記載や根拠に基づいた具体的な記載を行うことが求められている。

「臨床成績」には、有効性・安全性の主たる根拠となった第3相比較試験などの検証試験などの成績が試験デザインなどとともに要約される。外国(人)の結果についてはその旨が明記される。国際共同試験の場合には日本人症例数が併記され、全体集団と日本人集団で異なる傾向が見られた場合などには必要に応じて記載が追加される。有効性だけでなく、安全性についても、試験で観察された発現頻度の高い事象、対照薬との発現傾向が異なる事象などの簡潔な記載が求められている。

重要な疫学研究データ、他剤との比較データも記載されることがある。

 

3.活用

添付文書は、医薬品使用にあたって医療関係者が知っておくべき情報が記載された基本文書であり、医療過誤・製造物責任を巡る過去の多数の判例でも、医薬品の標準的な使い方の指標となる重要な判断根拠として引用されている。

臨床試験の計画・実施の際にも、対照薬の最新の(市販後を含む)安全性プロファイルの確認などに直接活用される(例:既知・未知の副作用などの判定基準)。

新薬などのさらに詳細な情報は製薬企業が作成するインタビューフォームからも得ることができる。市販後のリスク管理計画(Risk Management Plan: RMP。PMDAのホームページから閲覧可能)にも新薬の注意すべき安全性リスクなどが整理されている。

     

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