第4章 関連事項 
1 薬物作用 
1-1 薬物作用の個体差・人種差 
家入 一郎

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同じ薬を同じ量、同じ時刻に服用してもその効果は個人間で異なる(個人差)。さらに、グローバルに評価すると、人種間にも特徴的な薬物作用の差が見られる(人種差)。

個人差の原因には、病態、性別、体重、年齢、食事を含めた嗜好品、併用薬(薬物相互作用)、肝臓や腎臓の機能などが挙げられる。薬物作用が血中濃度と相関する場合、薬物血中濃度が個人差を理解するのに有用となる。具体的には、個人差の原因の推定や特定、処方設計(薬物治療モニタリング[therapeutic drug monitoring : TDM])に応用することができる。

一方、人種差については、嗜好品や体格の違いなどが背景因子と考えられていたが、薬物体内動態や薬物作用発現機構に関与するタンパク質をコードする遺伝子にみられる違い(遺伝子多型)が原因になることが明らかになりつつある。薬物代謝酵素や受容体タンパク質をコードする遺伝子の多型が例として挙げられる。

当然、遺伝子多型は個人差にも影響する。遺伝子情報と薬物体内動態や薬物作用との関連を評価する学問領域(方法論)を薬理遺伝学あるいは薬理ゲノミクスと呼ぶ。同義で使用されることも多いが、後者がより広い領域を取り扱い、TDMと共に、薬物作用に見る大きな個人差を小さくする、すなわち、薬物療法の個別適正化を目的としたテイラーメイド医療を推進する。

薬物作用の個人差・人種差の理解は、薬物療法のみならず治験を始めとする医薬品開発にも極めて重要であり、そのためにも薬物動態学、薬力学、薬理ゲノミクスの理解は欠かせない。

    

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