第4章 関連事項 
1 薬物作用 
1-2 薬物作用:PKとPDの分子実態 
家入 一郎

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薬物の体内動態や薬理効果を定量的に記述する目的で展開してきた学問領域をそれぞれ薬物動態学(ファーマコキネティックス[pharmacokinetics : PK])、薬力学(ファーマコダイナミクス[pharmacodynamics : PD])と呼ぶ。

PKでは、体内動態を、吸収(absorption)、分布(distribution)、代謝(metabolism)、排泄(excretion)の4つのプロセスに分けて記述し、総称して「ADME」と呼ぶ。
体内動態の記述は、主に薬物の血中濃度を測定することで可能となり(尿など、さまざまな体液中濃度も使用される)、体内動態モデルに適応することで、4つのプロセスを定量化し個人差や人種差がどのプロセスの関与で生じるかなどの評価が可能となる。

薬物の吸収、分布、排泄には生体膜の通過が必須であり、薬物の脂溶性や分子量が重要となる単純拡散と、担体介在性輸送に分類される。後者には、能動輸送が含まれ、多くのトランスポーターが分子実態として特定されている。P-糖たんぱく質を代表とするABCトランスポーター、OATP、OCT、OATなどの非ABC型solute carrierトランスポーターがある。トランスポーターの機能を考える場合、基質選択性、発現臓器、輸送方向性(排出系あるいは取り込み系)が重要となる。代謝の分子実態は、代謝酵素であるが、酸化を代表とする第I相反応と抱合を代表とする第II相反応がある。前者では、チトクロームP450(cytochrome P450 : CYP)が、後者では、グルクロン酸抱合や硫酸抱合などが代表的な代謝酵素や代謝経路である。

PDは、薬物の作用部位における薬物濃度と薬理効果を定量的に扱うが、薬物の作用部位濃度は、実際には測定が困難な場合が多いので、血中濃度を使用する。従って、血中濃度がPKとPD共通の情報となる。PDの機能分子としての実態は、受容体、イオンチャンネル、トランスポーター、シグナル分子、酵素などである。

PKとPDの連結(PK/PD)は、体内での薬物濃度の時間変化と薬理効果の時間変化を定量的に関連付けることを可能とする。Emaxモデル、効果部位モデル、間接反応モデルなどが知られており、解析する薬物の特性により選択される。また、創薬に活用され、より高度な解析手法として、母集団PK/PD解析、生理学的PK(PB/PK)解析がある。

      

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