第31回 外科医は“マンネリズム”を楽しんでいる?

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ノラリ・クラリ(泌尿器科医)


感覚は普通,大脳皮質を上行して処理されながら知覚されるが,上行と同時にそれが予測と合っていたか,情報を送り返すことが必要である。下向きの流れが現在の入力の不足を補い,次に経験することを予測する。同じ流れは異なる感覚の間,たとえば視覚,触覚,聴覚にまたがっても起こっている(連合野)。たとえば白い子犬を見ると,触れた時のモフモフ感や鳴き声を予測する。これは視覚の情報が上行していき,連合野に至ると,今度は視覚や聴覚の階段を下っていき,両方の感覚の予測を立てるからだ(ジェフ・ホーキンス,他:考える脳 考えるコンピューター1).p.175の図4を改変)。

 

異なる感覚は連合している
ダヴィンチ手術(da Vinci Surgical System)では,「見ること」と「触ること」が,とても深くつながっている。本当は,この手術支援ロボットには触覚センサーがないので,手で触った感覚は得られない。でも,カメラを通して見ているだけなのに,「ここの組織は硬そう」「この部分は柔らかいな」といった手ごたえが,なぜか感じられるのだ。この感覚は,実際にダヴィンチを操作してみないとわからないのが残念なところである。

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