第1章 臨床試験の基礎知識とそのポイント 
2 研究チーム 
2-3 臨床研究コーディネーター(CRC) 
中野 重行

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臨床研究コーディネーター(CRC、図2)は、1998年の新GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)の法制化に伴いわが国で誕生した新しい専門職である。当初は新薬承認のための治験を支援する「治験コーディネーター」としてスタートしたが、現在では治験にとどまらず、広く臨床研究全般を支援する「臨床研究コーディネーター」として、本来の役割を果たすようになっている。CRCの役割は、臨床試験を構成する「研究参加者(一般市民)」「研究責任(分担)者」「治験依頼者(製薬企業など)」の三者からなる「臨床試験の基本三角形」の真ん中に入り、臨床試験全体が円滑に進むように全体をコーディネートする役割を担っている。

CRCに期待される役割は、大きく以下の4つに分類され、これは同時に臨床研究に不可欠な「倫理性」「科学性」「信頼性」の確保を支援することでもある。


図2 臨床研究コーディネーター(CRC)の役割.  

1.研究参加者のケア(倫理性の確保への支援)

研究参加者をリスペクトし、研究の目的やリスク、権利についてわかりやすく説明し、十分な理解に基づく自発的な同意(インフォームド・コンセント)を支援する。また、治験では、研究参加者が抱く心理的負担やリスクを一緒に背負い、研究参加者の保護を提供するという研究チームの重要な一員としての役割を担う。

 

2.研究責任(分担)者の支援(科学性の確保への支援)

多忙な臨床研究者をサポートし、研究実施計画書から逸脱しないよう遵守を助ける役割を担う。また、常に研究参加者とコミュニケーションをとり、服薬状況や副作用の有無を絶えず調査することで、科学的なデータを得るための必須業務を行う。

 

3.治験依頼者側との対応(信頼性の確保への支援)

治験の場合には、治験データの信頼性を高めるために導入されているモニタリング(品質管理)や監査(品質保証)において、外部の担当者が医療機関で原資料を閲覧する際の窓口や立会人となり、円滑な実施に協力する。これにより研究責任(分担)者の負担を軽減しつつ、データの品質管理を支える役割を担う。

 

4.三者間のコーディネーション

臨床研究が円滑に進行するように、全体の調整(コーディネーション)を行う。臨床試験の現場は、目の前の患者の命を最優先する「医療の論理」と、信頼できるデータを集めて利益を追求する「資本の論理」がコンフリクトを起こしやすい場でもある。CRCは、この「患者の顔が見える世界」と「患者の顔の見えないデータの世界」の両方にまたがって仕事をする職種である。そのためCRCには、信頼できるデータを得るための「厳密さを求める態度」と、研究参加者やスタッフと良好な人間関係を築くための「柔軟さを求める態度」を調和させて使える能力が求められている。

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