治験を含む臨床試験は、医学の進歩のためにヒトを対象にして、病気の予防・診断・治療などの有効性や安全性を科学的に評価する研究である。なかでも「治験」は、新しい医薬品や医療機器が国(厚生労働省など)から製造販売承認を得るために実施される特別な臨床試験を指している。
臨床試験の最大の目的は、新しい治療法が本当に有効か、安全に使えるかという客観的な「エビデンス(科学的根拠)」を創出することである。そのため、研究参加者の「ランダム化」、「プラセボ対照比較試験」、「二重盲検法」などの「盲検法」といった厳密な手法と研究計画書(プロトコール)を用いて評価が行われる。
同時に、ヒトを対象とする臨床試験では「倫理性の確保」も極めて重要な目的となる。動物実験とは異なり、研究参加者の人権と安全を最優先するため、世界医師会が定めた「ヘルシンキ宣言」や、国が定めた「医薬品の臨床試験の実施の基準(Good Clinical Practice:GCP)」「臨床研究法」などの厳格なルールに従って実施される。
つまり、厳格なルールのもとで「科学的妥当性」と「倫理性」を両立させながら信頼性の高いデータを集め、最終的に多くの患者の病気の治療や生活の質(QOL)の向上という恩恵を社会にもたらすことが、臨床試験の最も大きな意義といえる。