1.Ⅲ相段階での試験の種類
臨床的使用に近い状態で、多くの患者における効果を最終的に証明するのが検証的試験である。事前に規定した評価項目を用いて、多数の患者を対象に、既存治療あるいはプラセボ(placebo)との比較試験を行い、治験薬の効果を検証するとともに安全性の検討を行う。既存治療は原則として試験実施時の標準療法であるべきであり、評価項目には生存期間などのハードエンドポイントが用いられることが多い。このような第Ⅲ相試験において、検証する治療法の有効性が標準治療を上回れば、検証する治療法がそれ以降の標準治療となる。既存の治療法が優れていれば、検証した治療法は臨床応用されない。第Ⅲ相試験は、日常診療に非常に大きなインパクトを与える試験である(図4-6-1)。
図4-6-1 第Ⅲ相試験の結果が与えるインパクト.
第Ⅲ相試験の結果は標準療法を変える大きなインパクトを与える.
また、第Ⅲ相試験の段階で、用量-反応関係をさらに探索する試験、より広い対象患者や病態の異なるステージでの医薬品の使用、または他剤との併用を検討する試験を実施することもある。さらに長期間投与した場合の安全性の検討もこの段階で行われる。
2.検証的試験のデザインと評価項目
検証的試験に用いられる試験のデザインを図4-6-2に示す。
図4-6-2 検証的試験に用いられる試験のデザイン.
[臨床試験を適正に行える医師養成のための協議会.クリニカルクエスチョンにこたえる!臨床試験ベーシックナビ.医学書院, 2012より転載]
効果の検証に用いられるデザインとして並行群間比較試験が最も多い。被験者はそれぞれ異なる介入が割り当てられている2つ以上の群の1つにランダムに割り付けられる。介入は被験薬群(複数用量のこともある)と対照群(プラセボまたは既存治療薬など)である。割り付けはランダム化の手法を用いて行われる。ときには被験者の背景、施設因子などを均一にし、バイアスを小さくするために動的割り付けを行うこともある。また、処置の内容を遮蔽(masking)する手法も可能な限り行われており、一般には盲検(blinding)とも呼ばれている。異なる背景を持つ被験者を複数の群に割り付けする際に、最も重要な点はランダム化を行う点である。これによって、介入の違い以外には、ほぼ均等な群で比較することが可能となり、内的妥当性が高まる。被験者および医療者や評価者ともに介入の種類がわからない二重盲検を伴う第Ⅲ相ランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial : RCT)はエビデンスを創出する最も信頼性の高い試験と位置付けられている。
このように非常に価値の高い第Ⅲ相RCTであるが、試験参加者数が少ない(Too few)、併存症、併用薬のない患者を対象にしている(Too simple)、高齢者、小児が除外(Too median-aged)、治療方法が限定されている(Too narrow)、追跡期間が短い(Too brief)という弱みがあることを認識する必要がある。
比較試験には優越性試験と非劣性試験がある。優越性試験は、統計学的に有意に介入による効果が勝っていることを示すもので、被験薬の効果を示す最も説得力のある方法である。被験者保護のため、真の被験薬の効果を示すためにプラセボを使用できる条件は、確立された治療法がない場合や、比較的短期間の検討で疾患の進展やリスクの増大が見込まれない場合などに限られる。非劣性試験は介入が既存治療とほぼ同じ有効性を示したり、プラセボの使用が困難である場合に治験薬の効果が既存治療に比べて劣らないことを示すものである。非劣性試験の結果が臨床上の意義をもつために、安全性や利便性など何らかのメリットを示す必要がある。