第1章 臨床試験の基礎知識とそのポイント 
4 医薬品の開発(治験) 
4-7 第Ⅳ相試験(市販後の調査・試験)製造販売後臨床試験はなぜ行うのか 
乾 直輝

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1. 第Ⅳ相試験とは

第Ⅳ相試験(製造販売後の調査・試験)は、医薬品や医療機器の市販後の安全性情報の収集と評価を目的として実施される。承認時の有効性および安全性は、患者数や患者背景(併用薬など)、投与期間が限定された状況で得られた限られた情報に基づくものである。製造販売後の調査・試験によって、長期間にわたり、さまざまな患者背景を有する一般集団から多数例のデータを収集することが可能となり、承認時に判明していなかった副作用を含む、安全性情報を充実させることができる。これらの情報を評価し、必要な情報を適時・適切に提供することで、市販後の安全性が高まる。緊急または迅速な安全対策措置が必要な場合には、緊急安全性情報(イエローレター)および安全性速報(ブルーレター)として周知される。

わが国では、副作用等報告制度として、全ての医薬品について、製薬企業や医師、薬剤師などの医薬関係者から副作用などが疑われる症例を常に収集し、随時評価する自発報告、新医薬品について、市販後、使用の成績などの調査を求め、承認後の一定期間(原則8年、条件付き承認などでは異なる場合がある)経過後に有効性・安全性を改めて確認する再審査、使用経験の長い医薬品について、必要に応じて現在の科学水準などに照らして、有効性・安全性などを見直すために行われる再評価が基本的な柱となる。これらの評価および検討によって、追加の注意喚起、注意事項等情報の改訂、承認事項の変更、承認の取消など必要な措置を実施することになっている。
医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令(Good Post-marketing Study Practice : GPSP省令)において、製造販売後調査は使用成績調査製造販売後データベース調査に分類され、製造販売後試験として製造販売後臨床試験が規定されている。

市販後の調査・試験は、市販前の臨床試験、つまり治験と比較すると、国際的標準化が十分に進んでいない。わが国は、再審査およびその後に行われる再評価の制度をもち、再審査などにあたっては市販後の調査・試験の結果を提出することが義務づけられており、得られた情報を有効利用することが求められる。

 

2.自発報告

医師、薬剤師や消費者が副作用の疑いを自ら医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency : PMDA)または製造販売業者に報告する自発報告は、新しい副作用の発見に関して優れたシステムである。医師・薬剤師を含む医薬関係者は保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるとき、副作用の疑いを厚生労働大臣への報告を求められている。報告書はPMDAのウェブサイトからダウンロードできる。企業報告については、重篤性や未知、既知の別により報告の必要性や報告期限が異なる。

 

3.市販直後調査

新医薬品については販売開始後6か月間、医薬品の製造販売業者が医療機関に対して、医薬品の適正な使用を促すとともに、副作用などの情報収集体制を強化することを義務づけた、わが国固有のシステムである。

 

4.使用成績調査

使用成績調査は「診療において、医薬品を使用する患者の条件を定めることなく、副作用等による疾病等の種類別の発現状況並びに品質、有効性及び安全性に関する情報の検出又は確認を行う調査」と定義される。小児、高齢者、妊産婦、肝腎機能障害を有する患者など特定の患者グループで実施されるものを特に「特定使用成績調査」という。承認後の新薬使用者を全て調査対象とすることを求める「全例調査」が承認時に承認条件として指定されることも少なくない。

 

5.製造販売後データベース調査

診療報酬明細書、電子カルテデータ、疾患登録データなどの医療情報を用いて製造販売後の調査を行う。現在は、医療情報データベース取扱事業者が提供するデータベースなどを用いた調査を実施することが可能になっている。

    

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