1.並行群間比較試験 の構造
介入研究、特に「仮説の検証」を目的としたランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial : RCT)では、最も一般的で標準的なデザインとして並行群間比較試験が用いられる(図1)。
図1 並行群間比較試験.
このデザインの基本構造は以下の通りである。
1) 対象患者の選定
PICOで定義した選択基準を満たし、除外基準に該当しない患者を集め、研究参加への同意を得る。
2) ランダム化割り付け
同意が得られた参加者を、ランダム(無作為)に「新しい治療群(介入群)」と「標準治療/プラセボ群(対照群)」の2群(またはそれ以上)に割り付ける。これにより、両群の参加者背景ができるだけ均一になる。
3) 介入の実施
割り付けられた治療を、あらかじめ定められた期間、並行して実施する。評価に与える影響を抑えるため、可能であれば二重盲検化を行う。
4) 追跡と評価
規定期間終了後、またはイベント発現まで患者を追跡し、主要評価項目を測定・比較する。
2.群間比較試験における重要な設計要素
並行群間比較試験を成功させるためには、以下の要素を慎重に設計する必要である。
1) 適切な対照群 (Comparison) の設定
2群比較を行う場合、対照群は標準的治療(コンセンサスが得られた診断・治療法)である必要がある。新しい治療Aと、効果が不確かな治療Bを比較しても、どちらが良いかは判断できない。 標準治療が存在しない、あるいは新薬自体の純粋な薬効を評価したい場合は、プラセボを対照とする。ちなみに、静注薬の場合、生理食塩水はプラセボと異なる。盲検化を維持するためには適切な外見・性状が必要である。
2) 評価項目 (Outcome) の具体化
「有用性」や「有効性と安全性」といった曖昧な評価項目は避け、具体的に測定可能な指標を設定する。(エンドポイント参照)
2-1) 主要評価項目 (Primary Endpoint)
その研究の核となる、一番知りたいこと。通常は1つ。サンプルサイズ計算の根拠にもなる。
2-2) 副次評価項目 (Secondary Endpoint)
主要評価項目を補完する項目、または安全性に関する項目。
3.並行群間比較試験の利点と欠点
1) 利点
ランダム化、盲検化と組み合わせることで、最もエビデンスレベルの高い「因果関係」の証明が可能となる。また、試験の構造がシンプルで、多くの疾患や介入に適用可能である。
Intention-To-Treat(ITT)解析(割り付けられた全患者を解析)を行うことで、実際の診療に近い「治療戦略の効果」を評価できる。一方、Per-Protocol(PP)解析といってプロトコルを守った(遵守した)人だけで解析する(逸脱者や脱落者を除外することが多い)こともできる。この場合、「その治療をちゃんとやれた人」だけを見ているため、治療を実施できた条件下での効果(実際に受けられた治療)を評価できる。ただし、PP解析では「プロトコルを守れた人」は、守れなかった人と比べて性格、重症度、支持体制、症状、忍容性、治療への反応などに違いがあり得るため、遵守できたこと自体が良い予後や改善と関連してしまい、効果を過大評価することがある(バイアスが生じる)。よって一次解析(Primary analysis)としては、多くの場面で ITTが基本となる。
2) 欠点
群間の背景因子を均一にするために、大規模なサンプルサイズが必要となることが多い。このため、時間と費用がかかる。また、まれな疾患や、効果が出るまで極めて長期を要するアウトカムには適さない。(図2、3)

図2 RCTが適している部分.

図3 あまり長期には引っ張れない.
4.RCTがすべてではない。
検証型研究でもRCTがすべてではない。希少疾患や倫理的にRCTが困難な場合は、外部対照(ケースコントロールやヒストリカルコントロール)と比較するという条件で単群試験を行う。(図4)

図4 単群試験(ケースコントロール).