治験の同意説明文書に記載するための「プラセボ」の説明文の例を挙げる。一般の方にも理解されやすいように、専門用語をできるだけ避けて構成している。
第1章 臨床試験の基礎知識とそのポイント
7 研究デザイン
7-7 プラセボ(placebo)
7-7-1 プラセボとは(同意説明文書の書き方)
中野 重行
1.治験の同意説明文書の例(「プラセボ」)
1)プラセボについて
今回の治験では、開発中の新しいお薬(被験薬)の本当の効果や安全性を正確に確かめるために、「プラセボ」と呼ばれるものを比較として使用します。プラセボとは、被験薬に含まれている「病気に働く薬理作用を有する成分」を含まないもののことです。成分としては、乳糖やでんぷんなど、体に対して直接的な作用を持たないものが使われています。あなたが飲む際に違いがわからないように、見た目(形、大きさ、色など)や味、匂いなどは被験薬とまったく同じに作られています。
2)なぜプラセボが必要なのか
人間の体には本来、病気やケガを治そうとする力(自然治癒力)が備わっており、治療をしなくても時間とともに症状が良くなることがあります。また、「治療を受けている」「薬を飲んでいる」という安心感や期待を持つことによっても、症状が改善することがあります(これを「プラセボ効果」と呼びます)。 そのため、新しいお薬を飲んで症状が良くなったとしても、それが「本当に新しいお薬の成分のおかげ」なのか、それとも「自然治癒力や安心感によるもの」なのかを区別する必要があります。これらを正しく引き算して、新しいお薬の本当の実力を評価するために、プラセボとの比較が必要不可欠となります。
3)どのように治験を行うか
今回の治験では、参加される方に被験薬とプラセボのどちらかが、ランダムに一定の確率で割り当てられます。先入観による影響をなくすため、あなたにも、担当する医師やスタッフにも、どちらを飲んでいただいているかが治験終了まで分からない仕組み(二重盲検法といいます)になっています。プラセボには薬理作用を有する成分が含まれていませんが、治験期間中は担当医師があなたの体調の変化を細かく確認し、安全に十分配慮しながら進めてまいります。ご不安な点やご質問があれば、いつでも担当医師やCRCなどのスタッフにご相談ください。
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