1.プラセボを利用した試験デザイン
プラセボは「プラセボ対照試験」でのみ使われると思われがちだが、実際にはそれ以外の場面でも重要な役割を果たす。代表例が上乗せ試験(add-on試験)である。
このデザインでは、全ての参加者に標準治療を行ったう上で、新規治療を追加する群と、プラセボを追加する群に割り付ける。つまり、プラセボは「何も治療しない」ためではなく、「追加治療の効果を公平に比較する」ために用いられる。標準治療を外さないため倫理的配慮ができ、実臨床に近い状況で新規治療の上乗せ効果を評価できる点が特徴である。
これに似たデザインとして、ランダム化中止試験がある。これは最初に全員へ試験治療を行い、効果が認められた患者のみを対象に、治療継続群とプラセボへの切り替え群に割り付ける方法である。この場合のプラセボは、治療を中止した場合の影響、すなわち効果の維持を評価するために用いられる。上乗せ試験が「治療を足す効果」を見るのに対し、ランダム化中止試験は「治療をやめる影響」を見る点が異なる。このように、プラセボは比較の基準を整えるために、さまざまな試験デザインで活用されている。