第1章 臨床試験の基礎知識とそのポイント 
9 臨床研究成績の統計解析 
9-5 臨床試験関連でよく使われるDCT、RWD、PPI、jRCTなどの略語の説明 
9-5-1 DCT 分散型臨床試験 
嘉治 翔子

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分散化臨床試験(DCT)

近年、医薬品開発において「患者中心の医療」の実現が強く求められる中、その具体的な取り組みの一つとして分散化臨床試験(Decentralized Clinical Trials : DCT)が注目されている。DCTとは、デジタル技術や地域の医療ネットワークを活用し、実施医療機関への来院に依存せずに臨床試験を実施する手法である。

従来の臨床試験では、患者は定められた日程で実施医療機関へ来院する必要があり、移動や待ち時間を含めて大きな負担となっていた。DCTでは、オンライン診療、eConsent(電磁的同意取得)、ウェアラブルデバイスによるデータ収集、訪問看護、臨床試験薬の自宅配送などを組み合わせることで、自宅などの生活圏内で臨床試験に参加することが可能となる。これにより、通院に伴う身体的・時間的負担が軽減され、仕事や学業との両立が容易になるほか、地理的に臨床試験への参加が困難であった患者にも参加の機会を提供できる。

DCTの普及により、参加のハードルが下がることで症例登録の迅速化など臨床試験の効率化も期待され、新しい臨床試験手法として導入に向けた検討が進められている。

     

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